派遣・職業紹介のシステム



一般労働者派遣
 人材派遣とは「必要な時に」「必要な人材を」「必要とされる期間」派遣し、その派遣先での業務をサポートするシステムです。
企業の要望に応じて派遣される人材が派遣スタッフ(派遣労働者)であり、派遣業務を事業として行っている会社が人材派遣会社です。
派遣での就労は、雇い主である会社(派遣元)と実際の職場となる会社(派遣先)が異なるところに特徴のある働き方でアルバイトやパート、また契約社員とは全く異なった就労形態ですので、図と下記の説明をよくお読み下さい。


●派遣会社と派遣先との間ではスタッフを派遣し、派遣先での労働に従事させるという労働者派遣契約を結びます。
●派遣就労中は、スタッフの皆さんと派遣会社との間に「雇用関係」が生じます。
●給与支払・福利厚生等は、雇用主である派遣会社が行います。また、派遣就労における入退社の管理も派遣会社が行うことになります。
●スタッフの皆さんは、日常の業務について派遣先の指示、勤務時間・時間外勤務等についても、派遣先の管理を受けることになります。

紹介予定派遣
 労働者派遣のうち、派遣元事業主が、派遣労働者・派遣先に対して職業紹介を行う(ことを予定している)ものをいいます。


紹介予定派遣の特徴
 紹介予定派遣は、労働者派遣期間中に派遣先は派遣労働者の業務遂行能力等が直接雇用するのに相応しいか見定め、派遣労働者は派遣先における仕事が自分に合うかどうか等を見定めることができます。
 今回の派遣法改正により、派遣就業が終了する前でも職業紹介(①派遣就業開始前又は派遣就業期間中の求人条件の明示、②派遣就業期間中の求人・求職の意思の確認及び採用内定)ができるようになりました。
 また、紹介予定派遣に限り、派遣就業開始前の面接、履歴書の送付等が可能になりました。

その他紹介予定派遣に関するルール
 紹介予定派遣の場合は、同一の派遣労働者について、派遣期間は6か月以内です。
  派遣元事業主は、紹介予定派遣に係る派遣労働者を雇い入れる場合は、その旨を派遣労働者に明示しなければなりません。また、既に雇い入れている労働者を新たに紹介予定派遣の対象とする場合はその旨を労働者に明示し、同意を得なければなりません。なお、紹介予定派遣の場合は、就業条件明示書に紹介予定派遣に関する事項を記載することとなっています。
  派遣先が派遣就業開始前の面接、履歴書の送付等を行う場合には、派遣労働者の年齢や性別を理由とした差別を行ってはならず、直接採用する場合のルール(雇用対策法や男女雇用機会均等法に基づくルール)と同様のルールの下に行うこととなっています。
  紹介予定派遣を経て派遣先に雇用される場合に予定される労働条件ー①雇用契約の期間の定めの有無(期間の定めのない雇用であるか有期雇用であるか)、②年次有給休暇及び退職金の取扱い(労働者派遣の期間を勤務期間に含めて算出する場合にはその旨)については、就業条件明示書に記載されることとなっています。
  派遣先が紹介予定派遣を受けた場合において、職業紹介を希望しなかった場合又は派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じ、その理由を明示しなければなりません。また、派遣元事業主は、派遣労働者の求めに応じて、派遣先に対し理由の明示を求めた上で、派遣先から明示された理由を、派遣労働者に対して書面で明示しなければなりません。
派遣期間中の苦情の申し出
 紹介予定派遣期間中に生じた問題については、派遣元において選任されている派遣元責任者に申し出てください。派遣元責任者は、派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に当たることとされています。

職業紹介
 職業紹介とは、職業安定法(以下「法」という。)第4条第1項において、「①求人及び②求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における③雇用関係の成立を④あっせんすることをいう。」と定義されています。
 この定義でいう用語の意味は次のとおりです。

  ①求人・・・報酬を支払って自己のために他人の労働力の提供を求めることをいいます。
  ②求職・・・報酬を得るために自己の労働力を提供して職業に就こうとすることをいいます。
  ③雇用関係・・・報酬を支払って労働力を利用する使用者と、労働力を提供する労働者との間に生じる使用・従属の法律関係をいいます。
  ④あっせん・・・求人者と求職者との間をとりもって、雇用関係が円滑に成立するように第三者として世話をすることをいいます。


職業紹介事業の種類
職業紹介事業の種類には、次の2種類があります。

【有料職業紹介事業】
 有料職業紹介事業とは、職業紹介に関し手数料又は報酬を受けて行う職業紹介事業をいいます。有料職業紹介事業は、法第32条の11の規定により求職者に紹介してはならない職業以外の職業について、法第30条第1項の厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。

【無料職業紹介事業】
 無料職業紹介事業とは、職業紹介に関しいかなる名義でも手数料又は報酬を一切受けないで行う職業紹介事業をいいます。

無料職業紹介事業は
 ◎学校教育法第1条の規定による学校、専修学校等の施設の長が行う場合には法第33条の2の規定により
 ◎商工会議所等特別の法律により設立された法人であって、厚生労働省令で定めるものが行う場合には法第33条の3の規定により
 ◎地方公共団体が行う場合には法第33条の4の規定により

厚生労働大臣に届出ることにより
 ◎それ以外の方が行う場合には法第33条の規定により厚生労働大臣の許可を受けて、無料職業紹介事業を行うことができます。
有料職業紹介事業で取り扱う事ができない職業
 有料職業紹介事業の対象となる取扱職業の範囲は、港湾運送業務に就く職業、建設業務に就く職業、その他有料職業紹介事業においてその職業のあっせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業以外の職業です。 なお、この厚生労働省令で定める職業は現在定められていません。

【港湾運送業務】
 港湾運送業務とは、港湾労働法第2条第2号に規定する港湾運送の業務又は同条第1号に規定する港湾以外の港湾において行われる当該業務に相当する業務として厚生労働省令で定める業務をいう。

【建設業務】
 建設業務とは、土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業またはこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。